今回は石油小売業界についてワンポイント解説をしていきます。
石油小売業界は、環境問題とモビリティの変化で需要減が続き大きな変革期を迎えている業界です。再エネ推進やCASEといった技術革新、コロナ禍による影響をうけ、単純な燃料販売から、顧客のニーズに応えるサービスの多様化や利便性の向上に変化しています。

3つのポイント

この記事では業界の最近の動きを押さえる3つのポイントを中心に解説します。

① 石油需要の漸減で販売店は大きく減少
② 環境問題への取り組み エコカーや再エネへのシフト
③ 地域ネットワークの拠点としてサービス多様化へ

販売店の減少、環境問題や技術の変化、サービス多様化について説明します。

石油小売業界とは

まずはじめに、石油小売業界の概要を確認しましょう。
石油小売業界は主にガソリンスタンドを中心とした、ガソリン、灯油、軽油などを販売する業界です。自動車や事業所への給油、灯油の配送などを行っています。ガソリンスタンド(GS、給油所またはサービスステーション、SS)は主要道路に沿って販売店を置いており、自動車を中心とした交通網のインフラとしての役割を担っています。

石油小売店で扱う石油燃料は99.7%が海外からの輸入に頼っており、石油元売りから販売店に供給されています。石油元売りは「ENEOSホールディングス」「出光興産」「コスモエネルギーホールディングス」の3社が大きなシェアを占めており、多くのガソリンスタンドがこの3社のブランド名を使って販売を行っています。

市場の規模と変化

国内のガソリンスタンドと販売事業者は1994年をピークに減少が続いており、2010年から2019年にかけて3割近く減少しています。この背景には「石油需要の減少」「環境問題と技術の変化」「消防法の改正」が関係しています。

石油需要の減少は、日本国内の人口減少が主な原因と考えられます。特に自動車の利用が多い地方で人口が減っており、販売店も地方でより多く減少しています。環境問題と自動車技術の変化もこの傾向を強めています。地球温暖化防止に向けた世界的なCO2排出制限や、ハイブリッドや電気自動車(EV)などエコカーへのシフトで、石油需要がさらに減る傾向となりました。

また、2010年に施行された消防法の改正で老朽化した地下タンクの回収が義務化されたことから、コスト増を招き廃業したガソリンスタンドが増えました。
石油燃料の需要は今後も減少を続けることが予想され、石油小売業界も販売網や顧客数を生かした新たな役割への変化を求められています。

トピックス1

①石油需要の漸減で販売店は大きく減少

前述の通り、石油販売店の数は大きく減少を続けています。石油需要が年々減っていることが大きな理由ですが、もう一つの原因が石油小売店の経営体質の問題です。
石油小売り店の多くが1店舗で営業する事業者で、経営規模は限られています。設備の更新や新規需要への対応など、コストのかかる経営投資がしにくく、後継者や人材確保の面でも不利となります。
こういった背景もあり、石油小売業界では廃業する事業者が増える一方で、経営規模を拡大し石油販売だけに頼らない業態へ変化していく事業者も増えています。

トピックス2

②環境問題への取り組み エコカーや再エネへのシフト

石油需要の減少の背景に環境問題や技術の変化があることは前述しましたが、石油小売店の現場でも環境問題や新技術への取り組みが重要になっています。
これまで自動車への給油を担ってきたガソリンスタンドですが、電気自動車(EV)の登場で、給油ではなく給電ニーズを取り込む事業者も増えています。連動して再生可能エネルギーを使った発電事業に取り組むケースも増えました。
また、CASE(Connected、Autonomous、Shered、Electric(ネットワーク化、自動運転、カーシェアリング、電気自動車))技術が進化することで、MaaS(Mobile as a Service)のメンテナンスや貸し出しを担う拠点としての役割を担うことも期待されています。

トピックス3

③地域ネットワークの拠点としてサービス多様化へ

ガソリンスタンドの強みはロードサイトに販売店網をつくりやすく、一定の顧客も確保しやすいことです。地域でのネットワークを持つことで、燃料販売以外のニーズにも業態を拡げやすくなります。カーライフ全般のサポート役として、自動車販売や自動車整備・カー用品販売などへ事業を拡大するケースが増えています。また地方では、自治体と提携した災害時のエネルギー供給拠点として機能を担う事例が増えて来ています。
拠点や事業を増やし経営規模を拡大することで、変化する事業環境に対応できる経営体力を確保することができます。

まとめ

石油小売業界は、石油需要の減少が続きビジネスモデルの転換を迫られている業界です。しかし、輸送・移動のニーズがなくなるわけではなく、既存の販売網を生かした新たな役割を獲得することが可能です。
石油小売業界の企業を見るときには、未来を見据えた新たな投資や展開への取り組みを中心に確認していきましょう。

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